Wanderers - 宇宙から来た僕

ある日、自分が宇宙から来たと知った “僕” の冒険

病院への失望

僕はめずらしく怒っている。怒りというよりは闘志と言ってもいいかもしれない。

理由はこんなことだ。

僕の友達で、不眠症で何年も通院している子がいる。ここ一年は鬱病だと診断されて、鬱病の治療も受けている。治療というか、主に投薬だね。

その彼女が心療内科でカウンセリングを受けたらしいんだけど、知能障害の疑いがあるから検査しようと言われて、自分を失いそうになっていた。

…なんて馬鹿げたことを言うんだろう!

彼女は知能障害どころか、利発な子なんだ。もっと言うと、鬱病でもないんだよ。ただ単に、ちょっと不安が強過ぎるだけなんだ。

救いを求めている患者に、なんて無責任なことを言うんだ。それでも医者か。僕は腹が立って仕方がなかった。

その病院は、会社をしばらく休むことと、いままでとは別のもっとお金のかかる治療法を勧めたそうだ。

健康な人を病気にしただけじゃなく、さらにお金を払わせて人生まで狂わせる気か。僕はもう我慢ができなくなった。

「カウンセリングなら、僕がやる」

少し考えて、僕はそう言った。彼女が病院を信頼して、薬を飲むことを選んでいるうちは、僕は口を出さないつもりだった。だけどもう、限界だった。

才能溢れる、個性豊かな人は、たいてい「普通じゃない」って烙印を押されて、なんだか変な病名をつけられたりするんだ。新しい精神疾患がどんどん生まれて、新しい薬がどんどん開発される。製薬会社はますます儲かっているよね。彼らにとって精神疾患の患者は、“太い客” なんだ。向精神薬の多くは、LSDよりも、エクスタシーよりも、よっぽど依存性が高いからさ。

僕はカウンセラー養成講座を終えたばかりのカウンセラーの卵だし、デザインの仕事をしながら、これから自分がどんな風に学んだことを生かしていくのか、模索しているところだった。

相変わらず病院に不信感を持ってはいるけど、向精神薬を頭から否定するんじゃなく、その助けが必要な場合もあるのを理解しようともしていた。

だけど失望のあまり、僕はつい、僕の闘志に火をつけてしまったんだ。

精神科は今日も、やりたい放題

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