Wanderers - 宇宙から来た僕

ある日、自分が宇宙から来たと知った “僕” の冒険

“人間らしさ”の誤解

ここ最近、自分が宇宙から来たと知る少し前から、恐れていることがあった。

「僕が、だんだん、人間離れしていく気がする」

それは、こういうことだ。僕は人の気持ちが嫌ってほどわかるタイプの人間だった。だいたい顔を見たらわかってしまうんだ。不快感や、不安や、嘘や、悲しみや、そういったことがね。

人の話を聞いたり、テレビや映画を見て、感情移入し過ぎて泣くことがしょっちゅうだった。ダーリンが怪我をした時なんか、聞いただけで痛くて涙が止まらなくなるんだ。

それが最近の僕ときたら、誰かの話す悲しい経験を、実験データでも見るような冷静さで聞いていることがある。へたすると、自分のことでもそうなんだよ。ちょっと困ったことが起きても「ふーん、面倒がやってきたな、さてどうしてみようか」って思うような感じなんだ。

そのくせ、へんなところで大笑いしたり、うれしい時に涙が止まらなかったりする。まぁ元からそういうところはあったけど、それがひどくなる一方でね。

このことを僕は誰かに聞いてみたかった。だけど「人間離れするのが恐い」なんて、へんな悩みかなと思っていた。人間のくせにね?

僕はいま、リーディングを学んでいるって前に書いたよね。思いきって、その先生に聞いてみたんだ。先生なら、こんなへんな悩みでもちゃんと聞いてくれると思ったからさ。

ちょっと意外でもあったんだけど、先生は「それでいいんです」って言ってくれた。

人の気持ちがわかり過ぎる人を「エンパス(共感者)」って言うらしい。そういう人には、自分とほかの人をはっきり区別することがむずかしいみたいだ。とくに感情の面でね。だからこそ自分の境界線をしっかりと持つことが大切だって教えてもらったよ。

エンパシー 共感力のスイッチをオン/オフしよう

エンパシー 共感力のスイッチをオン/オフしよう

 

僕には当たり前だと思って生きて来たことが、誰にとってもそうじゃないってことはあるんだよね。“人間離れ” なんて思ったのも “人間らしさ” をへんな風に捉えていたからかもしれない。

よく葬式で神妙な顔をしている人を見ると、笑いが止まらなくなってこらえるのに苦労したんだけど、エンパスはそういう “嘘” や “フリ” を見抜くせいで、可笑しくなるらしいね。僕はそれを知るまで、自分にたいして「この人でなし!こんな場所でなんてやつだ」って思うこともあったよ。

そう思うとさ、人の頭の中なんて見えないんだ。心は多少見えたとしてもね。だから、みんながいろんなことをオープンに話せるといいよね。そして、それを “優れてる” とか “おかしい” とかじゃなくて、ただ「違ってるんだな」って受け止められるようになったらいいね。