Wanderers - 宇宙から来た僕

ある日、自分が宇宙から来たと知った “僕” の冒険

アセンションなんだね?

僕のブログをはじめて読んだボスからメッセージが届いた。

アセンションなんだね?」

続けて、こう来たもんだ。

「それなら、わかるかも」

えーーーー!

なってこった。僕はまたつまらないミスをした。「アセンション」なんて言い方、あんまりにも “業界用語” 過ぎるかと思って「地球のために大きな仕事をする」ってまわりくどい言い方をしたんだ。余計なことをしたもんだ。

僕はびっくりした。もう毎日びっくりしてるんだけど、またびっくりした。

「まじで?」と言った僕に、ボスはこう返した。

「たぶんね。自分が覚醒することがアセンションかなという意味でね。」

僕はもうお手上げだと思った。この人は「自分がアセンションと関係するのは “なんとなくわかっている”」って言うんだよ。僕なんて、やっと自分が宇宙から来たってことを受け入れはじめたばかりだというのにさ。

たまげてばかりいる僕にボスは「アバンギャルドで聴きにくいけど」と言って、さんざん聴いたというジョン・コルトレーンの「アセンション」という曲を教えてくれた。ボスは宇田川町でレコードを掘っていた時にはすでに、アセンションに導かれていたんだ。

仕事の帰りに夜空を見上げると、オリオン座が見えた。オリオン座は目立つから目印にしていたけど、なぜか好きとは言いたくない感じだった。いまは、その近くにプレアデス星団があるのを知っている。たぶん僕の故郷だ。

そのあたりを眺めていた時、どどーんと頭の中に「わ〜れは行く〜さらば〜昴よ〜」と谷村新司「昴」が鳴り響いた。

昴っていうのは日本語でプレアデス星団のことだ。こんな気持ちで故郷を後にしたんだろうか? 僕は妙に胸が熱くなるのを感じながら帰宅した。そしてボスに教えてもらったコルトレーンの「アセンション」を聴いて、思った。

くそー、かっこいいな!

僕はさっきまで脳内で「昴」を聴いていたというのに、なんだ? このかっこいい音楽は。僕はもう一度、完全にお手上げだと思った。