Wanderers - 宇宙から来た僕

ある日、自分が宇宙から来たと知った “僕” の冒険

宇宙から来た僕とボス

つい先週のこと、僕は思いがけず自分のルーツを知ることになった。

僕はいま、リーディングを学んでいる。リーディングっていうのは、目に見えないエネルギーから情報を読み取ること。日本語には “気” って言葉があるよね。人が放っている “気” を通して、本当のその人を見ることがリーディングだと思っていい。

その宿題で、練習相手になってくれた友達のリーディング結果を報告した時、先生がこう言ったんだ。

「この方、あなたと一緒に、宇宙船に乗って地球に来ています」

ちょっとやそっとのことじゃうろたえない僕も、さすがにこれにはびっくりした。

 友達は宇宙人で、そのうえ自分も宇宙人ってこと?

さらに先生は驚くことを言った。

「この方は、宇宙船でやって来たグループの長です」

この友達とは長い付き合いで、仕事仲間でもある。仲間は彼のことを「オヤジ」と呼んでいる。オッサンという意味じゃなくて、ヤクザが組長をオヤジと呼ぶようなノリでね。だけど、彼がまさに「オヤジ」だったとは、まったく気がつかずにいたんだ。

ここでは、彼のことを「ボス」って呼ぼうと思う。オヤジだとお父さんと誤解されそうだからね。

ボスは、幻聴や幻覚のせいで「心の病気」ってことになっていた。普段はごく普通にしているけど、何度か入院したこともあるし、いまもたくさんの薬を飲んでいるのを知っている。

ボスの病状を伝えると、先生は「幻聴じゃなくて、この方は本当に聞いています」 と言った。そして「よく生きていてくれました」と言ってくれたんだ。

この時はじめて、僕にもボスの苦しみがすこしわかった気がした。ボスの苦しむところを間近でずっと見てきたのに、僕は「わかったつもり」で同情していただけだったんだ。なんというか、頭が下がる思いだったよ。

この日の授業の後、いつも通りにクラスメイトとご飯を食べながら、僕は心ここにあらずだった。びっくりしたけど、答えが見つかったような感じもしていた。ちょうど難解なパズルの解き方がわかった時みたいに、いろんな記憶が蘇って来ては繋がっていくのを、僕はただ眺めていた。

そして僕がこの日、僕らが宇宙から来たと知ったことも、大きな計画の一部なのかもしれないと思ったんだ。